PC Gaming Show: Most Wanted 2025(最も期待されるゲーム)で1位に選ばれた Slay the Spire 2(スレスパ2)が今年3月に Steam より早期アクセス版がリリースされるということで、初作である Slay the Spire がどんなゲームなのかを紹介していきます。

Slay the Spire はどんなゲーム?

Slay the Spire(スレイ・ザ・スパイア。以後スレスパ)は、シングルプレイのローグライクデッキ構築というジャンルのカードゲームです。与えられた初期デッキで敵と戦い、報酬やイベントでカードを獲得してデッキを強化しながらステージを進み、最後に待ち受けるラスボス討伐を目指します。

選択できるキャラはアイアンクラッド、サイレント、ディフェクト、ウォッチャーの4人。最初はアイアンクラッドから始まり、プレイを重ねることでアンロックされます。サイレントで最高難易度での実際のプレイ画像とともに紹介します。

初期デッキ

初期デッキはこのようにシンプル。カードの左上がコストで、毎ターン供給される3コストから支払い使用します。カードタイプは5種類あり、敵を攻撃するアタック、さまざまな効果をもたらすスキル、プレイヤーを強化するパワー、デメリットをもたらす状態異常と呪いに分類されます。戦闘中にデッキが切れると捨て札をシャッフルしデッキに戻すため少ない枚数でも成立しますが、初期デッキのストライクと防御は特に性能が弱く、デッキから削除したり、他のより強力なカードを取得することでデッキパワーを底上げする必要があります。

マップ

ステージはマップの最下部から始まり、枝分かれしたルートを選択しながら登っていき、最後に待ち受けるボスを倒すと次のレベルへと進みます。各階層でどのイベントが発生するかはアイコンから分かるため、戦略的なルート選びが攻略の鍵となります。

戦闘

戦闘マスでは敵と戦闘します。最も基本的なマスで、勝てば報酬としてカードが1枚貰えます。ランダムな3択から1枚を選択する形式となります。ゴールドとたまにポーションも貰えます。ポーションは使い切りのお助けアイテムで、戦闘で困ったときの助けになります。

イベント

イベントマスでは様々なイベントが発生します。選択を迫られるものや、ルーレットや神経衰弱など様々。

財宝

財宝マスではレリックを獲得します。レリックとは永続的に戦況を有利にしてくれるアイテムで、ゲームを進めるにつれ集めたレリックの効果が複雑に絡み合い、プレイヤーが強力に成長します。キャラクターはそれぞれ固有の初期レリックをもってゲームを開始し、左上の蛇のようなものがサイレントの初期レリックになります。

ショップ

ショップではカード、レリック、ポーションを購入できます。ゴールドを支払うことで不要なカードをデッキから除去することもできます。

エリート

エリートマスでは通常の敵よりも強力な、エリートと戦闘をします。倒すとレリックを獲得します。カード、ゴールド、たまにポーションも貰えます。

休憩

休憩マスでは体力の回復か、カードのアップグレードができます。各カードは1度アップグレードすることができ、能力が強化されます。

ボス

最後に待ち受けるボスはとても強力。これを討伐することで次のレベルに進むことができます。各レベルにはボスが3種類ずつ存在し、そのうちのランダムな1体が選択され、攻略方法が異なるため臨機応変な対応が求められます。

スレスパは単なる「運ゲー」ではない

さてスレスパがどのようなゲームかは一通り紹介したので、このゲームが購入に値するかゲーマー目線でガチレビューしたいと思います。以前紹介したようにスレスパはローグライクデッキ構築というジャンルのゲームですが、このジャンルはスレスパにより確立された新しいジャンルです。そしてスレスパが世界中で大ヒットしたため、ジャンルとして確立され、同じようなシステムのゲームが多く登場しました。一度やられると何もかも失い、完全に最初からというシビアな設計で、プレイを重ねることによるキャラクターのレベル上げのような、やればやるほどキャラが育ち強くなるというような「多く時間を使えば誰でも強くなるよね」というようなぬるいゲームではありません。何度もやることにより、プレイヤー自身が知識をつけ、ゲームの様々な仕様ー具体的には、敵の行動パターンや、バフ/デバフの仕様、カード/レリックの仕様やシナジーなどを理解し、プレイスキルが徐々に磨かれ、より先に進めるようになるという、プレイヤー自身が成長していくことで達成感が得られるという、ドーパミンは手軽に得るべきものではなく、努力した先の達成感として得るべきものだという、まさに理にかなったような設計の作品です。ローグライク(Rogue like)とは Rogue のようなという意味で、1980年に発売された『Rogue』という、アルファベットと記号だけで表現されたPCゲームに似た作りのゲームという意味で、これは後に、それを元に作られた『トルネコの大冒険 不思議のダンジョン』という、今でお馴染みの不思議のダンジョンシリーズの『風来のシレン』の初作にあたる作品は、中身はほぼ Rogue で、これをグラフィカルに表現したような作りであるため、風来のシレンのシステムの根本は Rogue です。スレスパの一度やられると最初からというシビアな設計、やればやるほどプレイヤー自身の知識が増え、プレイスキルが上がることによる本質的な成長はまさに風来のシレンそっくりです。そしてすでにここまで読んでくださった閲覧者の方のほとんどはおそらくスレスパに向いていると思います。スレスパはとても思考するゲームです。戦闘中の計算や確率的にどのカードを切るべきか、この局面でポーションを使うべきか、報酬の3枚からどれを選ぶか(もしくは受け取らない)、ショップで何を購入するべきか、ボス戦直前の休憩所で体力回復すべきかそれともカードをアップグレードするべきか、など1ゲームを通してすさまじい数の選択肢があり、最高難易度となるとそれらの選択肢を最大期待値からできる限り外さないことが重要になります。スレスパをプレイし、「スレスパは運ゲーだ!」と最高難易度をクリアする前に辞めていく人も少なくありませんが、おそらくそのほとんどはスレスパの本質を理解していません。かつての僕もそうでした。運が上触れし続けない限り最高難易度はクリアできないものだと思っていましたが、それは間違いでした。スレスパは運と実力とが非常にバランスの取れた作りです。最高難易度ともなると期待値の最も高い択を選び続けても運悪く力尽きることも少なくありません。ただこれはカードゲームがゆえに仕方のないことで、TCG(トレーディングカードゲーム)の世界大会でも、最も優れたプレイヤーが必ず勝てるわけではないのです。ただし、数を重ねると優れたプレイヤーの勝率は最も高くなるでしょう。スレスパも同じです。次の章『最高難易度A20H』に続くー

最高難易度A20Hとは

※裏ボスなどのネタバレ含みます。

このゲームのエンドコンテンツとはの話と、そもそもこのゲームは何を目指すのか。このゲームの設定は塔を登るというもので、ストーリーには一切興味のない僕にその理由はわかりませんが、「そこに塔があるから」というクライマーのような思想を持った4人のヒーローが住人である魔物を倒しながら他人の建造物を勝手に最上階へと登っていくという自己中心的物語ーそこにピーチ姫がとらえられているわけでもあるまいし、と勝手に想像すると罪悪感に襲われそうですが・・・。ローグライクではリスペクトの意味も込められてか階段を上ったり下りたりと、ステージが階層構造であるという伝統的風習に当てはめたのかなと。スレスパでは3層のボス、すなわち3体目のボスを倒すとゲームクリアとなり、時間としては1時間から4時間程度でしょうか。もちろん慣れないうちやじっくり考えてプレイしている場合はもっとかかるし、慣れた人が高速プレイするともっと早いタイムになるでしょう。最初の3キャラクターでこれをクリアすることでその先の裏ステージへの鍵が手に入る権利が手に入ります。(ややこしい・・・)。4キャラ目は後のアップデートで追加されたキャラなのでしょうか。以降のプレイでは道中で合計3つの鍵を集めて3層のボスを倒すことで、裏ステージへの扉が開かれます。以前紹介した休憩マスの画像で「休憩」、「鍛冶」に紛れて「思い出す」というのがあったのが気になった人もいたかもしれませんが、それを選択することで3つの鍵の1つである「赤い鍵」が手に入ります。裏ステージの最後に待ち受けるラスボス「堕落の心臓」を倒すことで完全クリアとなります。そしてこのゲームはクリアすると「アセンション」という難易度設定が解放されます。アセンションは1から始まり、クリアすることで次のレベルが解放されます。アセンションは20まで存在し、各レベルでは「エリートがより多く出現」や「通常の敵の攻撃力が上昇」など、条件が蓄積されていくためアセンションを進めるほど攻略がより困難になります。つまりスレスパは最高難易度であるアセンション20をクリアすることが目的となります。アセンションレベルの解放はキャラ毎に別々に管理されているため、レベルの解放にはそれぞれのキャラでクリアする必要があります。そして、ここでいうクリアとは3層のボス撃破の時点で達成となります。そしてスレスパ関連でよく出るワード「A20H」とは、アセンション20H(ハート: 心臓)の意味で、アセンション20で堕落の心臓撃破までを意味します。これはスレスパ界で最も名誉あることで、界隈ではエベレスト登頂に匹敵する輝かしい功績となります。これを目指して挑戦している最中、ある程度のアセンションレベルまで来ると、不可能だと思う時が来るでしょう。その山を乗り越えられるかがこのゲームとの本当の闘いです。

ーおそらくここまでくるのに相当な時間を費やします。

そしてA20Hをクリアした先に待つもの。エンドコンテンツとは。この後は何を求めてプレイすればいいのか。ここまでたどり着いたのならおそらく自分で気づいているはずでしょう。そう、A20Hのクリア率を追求することです。最初は20回に1回などと、レリックの出目や報酬カードの上触れが積み重ならないとクリアできないくらいに難しいことでしょう。それがひたすらに考えて、挑戦を繰り返すうち少しずつクリア率が上がっていくでしょう。挑戦履歴をページ送りして確認すると、「クリア!」の間隔が前よりも短くなってくるでしょう。そしてこのゲームは極めると、すべてのキャラにおいてA20Hのクリア率は50%を上回ることが可能で、上位プレイヤーのクリア率はおよそ80%程度もあります。カードゲームは確率を追求するゲーム、カードゲームにはシャッフルという運が加わるからこそ面白い。目に見えない、答えを出すのが困難だからこそそれを追及し続ける。スレスパはレリックの存在によりさらに状況が複雑になり、毎回違った局面での選択を迫られる。定石が存在しない、毎回異なる状況への臨機応変な対応力が求められます。このように、スレスパは思考を楽しめる人なら永遠に遊ぶことができるため、「5億年ボタン」を押す前にダウンロードを済ませましょう。

さいごに

今回紹介した『Slay the Spire』は、Steam にて2800円で販売中で、セール時には1000円を切ることもあるためウィッシュリストに追加しておくとセール時にお知らせが届くので便利かと思います。スレスパ2発売までに触っておきたい方は是非! 他にも、スマホ、Switch、PS4 など多くのプラットフォームに対応しているため興味のある方は是非調べてみてください。